果樹栽培・ガーデニングの基本

果樹栽培の病気と害虫対策

果樹栽培を行ううえで、最も多いトラブルが病虫害による被害です。被害を最小限にするために、予防対策、害虫駆除を考慮しておきましょう。

果樹の病気と対策

灰色カビ病(ブドウ)
果樹の種類によって、その病気の種類も多種多様です。病気の原因として多いのがカビ(糸状菌)、細菌(バクテリア)によるもので、ほかにもウイルス性の病気などがあります。果実は直接口にすることの多い農作物なので、できるだけ薬の使用は避けたいところですが、収穫量や品質を維持するためには仕方のない場合もあります。種類や使用法に気をつけて農薬を使いましょう。カビによる病気に使用する殺菌剤(殺糸状菌剤)は、おもに予防に重点をおいて使用します。発病前あるいは発病初期に定期的に使用し、病原菌を滅菌しておくことが重要です。細菌性の病気はかかってしまうと手の打ちようがないので、土壌消毒などで予防に努めなければなりません。またウイルス性の病気に対しては防除薬がないので、ほかの果樹にうつる前に除去します。このほかにも、肥料の与えすぎや薬害、日やけ、干害、公害、塩害などによって引き起こされる病気もあります。

果樹の害虫と対策

ワタアブラムシ写真
害虫には、大まかに固形物をかじる食害型のものと、注射器の針のように果樹の汁を吸う吸汁型のものがあります。ダニやアブラムシ等の吸汁型の害虫では予防が重要ですが、食害型の害虫は発生してから駆除しても遅くはありません。殺虫剤の種類には、薬を虫の体表に付着させる接触毒性殺虫剤、ガスを吸わせて廃除する呼吸毒(ガス)性殺虫剤、薬のついた葉を食べたり、汁を吸わせて駆除する食毒性殺虫剤があります。接触毒怪殺虫剤はおもにイモムシ、アブラムシ駆除に使用されますが、葉の裏などにいる虫にはかかりにくいので散布するときに気をつけましょう。呼吸毒性殺虫剤は、ビニールハウス等の密閉された場所で使用します。食毒性殺虫剤はイモムシ類に使用しますが、吸汁型の虫にはあまり効果がありません。果樹の本数が少ない場合には直接、手で虫取りをすることも有効です。

農薬の使用轟減らすポイント

薬剤を使用したくない、または最低限の使用にとどめたい場合は、病虫害を寄せつけないように、次のような日常の手入れが重要になります。第1のポイントは、病虫害に強い体質作りをすること。間引きをして、日当たりや風通しをよくしておき、窒素系肥料や水のやりすぎに注意します。
第2のポイントは、果樹の周辺を清潔にしておくこと。落葉についた病原菌がもとで病気になる場合もあるので、落ち葉は焼却消毒するか、穴を掘って埋めます。また、古い鉢を使うときは、鉢の中と外を洗浄し、日光消毒しておきます。
第3のポイントは、冬の間に害虫の駆除や予防をしておくこと。冬は樹木の外皮の裏や落ち葉の下に害虫の卵や幼虫がいるので、活動をはじめる前に見つけだして駆除します。秋に、樹木の幹にわらを巻いておくと害虫はわらにもぐりこんで冬を越すので、春先にそのわらをはずして燃やせば、一網打尽にできます。また、農薬を使う場合でも、かけむらをなくしたり、適切な使用方法を守るなど、効果を最大限に引き出すようにすれば、過剰な使用の防止につながります。