セイヨウナシの育て方・栽培方法
バラ科
シャリシャリした歯触りの日本ナシと比べて、ねっとりした口当たりが特徴です。生食するほかに、料理の素材にも使われます。
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●深くてよく肥えた、 排水のよい土壌に植える。
●東北地方、高冷地。
●適地以外では障害が 多く、むずかしい。
セイヨウナシの果樹としての特徴
野生種はヨーロッパ中部から南東部、コーカサス地方、小アジア、ペルシャ北部といった広い範囲に分布しています。日本へ持ち込まれたのは明治初期ですが、そのときのものは定着せずに、その後ふたたび導入されました。セイヨウナシにはわい性の台木苗があり、コンパクトに仕立てることができるため、スペースのあまりとれない庭先での栽培に向いています。果実を食べるには、収穫後に追熟する必要があります。
セイヨウナシの栽培条件と品種選び
日照量が多く、雨の少ない冷涼な地域が栽培に適しています。自分の花粉では結実しにくいため、授粉樹として他品種を混植する必要があります。最もよく知られた品種に 「ラ・フランス」があります。わい怪の台木苗もあるので、コンパクトに仕立てるにはよいでしょう。
セイヨウナシの栽培方法
植えつけは11~12月が適期ですが、積雪地や寒冷地では2~3月に行います。根を広げるようにして、接ぎ木部分が地上から10cmほどの位置になるようにして植えつけます。植えつけ後、苗木は高さ45~60cmくらいに強く切りつめます。
セイヨウナシは根を深く張るので、肥えた土壌層が十分深く、さらに排水のよい土壌が適しています。日当たりのよいことも必要な条件です。
わい性台木苗でコンパクトな「立木仕立て」に
収穫が8月下旬~10月と、台風の時期に重なる品種も多く、果実や枝葉を台風から守り、かつ管理作業が楽なことから、多くは「棚仕立て」で栽培されます。しかし、日本ナシのような旺盛な生育をみせないため、「立木仕立て」でも十分に家庭での栽培が可能です。
1年目、充実した枝を選んで3分の1ほどに切りつめ、ほかの枝は間引くか、軽い先刈りをします。2年目、3年目の冬、主枝の延長枝は3分の1程度に強く切り返します。2~3年目から、亜主枝の生長に心がけます。亜主枝は、主枝の基部から30~40cmほどの間隔で、伸びる方向が互い違いになるように作ります。5~6年目で主幹を切りつめて、主枝が3~4本の関心形にします。
基肥は遅効性、お礼肥は速効性肥料
11~12月に基肥として遅効怪の化成肥料などを施し、さらに、9月下旬~10月上旬にお礼肥として速効性の肥料を与えます。
品種にもよりますが、自分の花粉では結実しにくいので、授粉樹を混植するか人工援粉によって結実を確実にする必要があります。
摘果は2回に分けて行う
1つの花芽にいくつもの花が開きます。それらをすべて結実させると果実が肥大せず、また、養分を多く使いすぎるため、次の年の結実に影響を与えてしまいます。そのため摘果が必要となります。摘果は2回に分けて行います。1回目は落花後20日たったころ、1果そう(いくつもの果実が固まるようについた部分)に1果の割合で、果柄が太く長く、果形がやや縦長でよく整った、大きな果実を選んで残し、それ以外を摘果します。2回目は仕上げ摘果で、落花後40~50日後ごろまでに行います。摘果は、棄25~30枚に1果程度になるように、よい実を残して摘果します。
病虫害から果実を守るために袋かけを行います。仕上げ摘果を終え、6月上旬までには袋をかけます。
セイヨウナシは、まだ未熟な果実を収穫して、一定期間追熟させます。そのため、果実の色で成熟度を判断することがむずかしいですが、ラ・フランスでみると、10月上旬~中旬が収穫の適期となります。収穫が早すぎると追熟できずに果実が傷み、収穫が遅すぎると肉質が粗くなって食味も劣ってしまうので注意が必要です。