カキの育て方・栽培方法
カキノキ科
日本が世界に誇る、歴史ある果樹です。甘柿はそのまま、渋柿は渋抜きして食用にします。
※画像をクリックすると拡大します
●地域に合った品種を選び、過肥と強前刀定を避け、果 樹管理を適切に。
●関東地方以西。渋柿:東北地方以南。
●栽培も容易で、家庭でも多く植えられる。
カキの果樹としての特徴
甘柿と渋柿があり、甘柿は明治になってから日本で改良されたもので、現在は欧米各地に輸出され、広まっています。また、果実には種子のあるものとないものがありますが、種子のある品種のもののほうが、生育途中に落下することが少なく、多く収穫することができます。
カキの栽培条件と品種選び
甘柿は暖地、渋柿はやや寒冷な地方が栽培に適しています。たとえば、甘柿の代表品種である「富有」や「次郎」などは、9月の平均気温が21~23℃、10月の平均気温が15℃以上で育てないと売り物にはならないといわれています。渋柿は甘柿より寒さに強く、東北地方でも栽培でき、渋抜きさえすれば甘柿以上に甘くなります。逆に暖かすぎても栽培には向かず、九州の南部では生育サイクルが常緑果樹的になって、栽培がうまくいきません。日当たりさえよければ、土質はあまり選ばず、よく育つ果樹ですが、その地域の気候に合った品種を選ぶことがポイントです。品種としては、甘柿には、果実が扁平で大きな「富有」、四角張った「前川早生次郎」、極早生で大型の「西村早生」、授粉樹としても使える「禅寺丸」などがおすすめです。渋柿では、「平核無」「西条」などがあります。カキは雌雄異花で、雄花をつけない品種もありますが、多くの品種では受粉しなくても(種子が入らない)果実が肥大・成熟します。ただし、一l般に甘柿では、受粉・受精して種子が人らないと、生理落果が多くなったり、肥大・成熟もよくなく、渋くなったりします。雄花が少ない甘柿を栽培する場合は、雄花が多くつく「禅寺丸」や「西村早生」などを、混植・高接ぎしたり、人工授粉したりすると安定した結実が得られます。
カキの栽培方法
植えつけ時期は12月を基本とし、積雪が多く12月に植えつけができない地域では3月に植えつけます。植えつけのさい、根を乾かさないように注意します。細根を傷めやすいので、根の剪定は行いません。
狭いスペースで栽培できる品種を選ぶ
台木にもよりますが、一般にカキは深根性のわりには寒さに弱く、乾燥にも強くありません。日当たりがよい場所の、有機質に富んだやや粘土がかった土が適しています。樹形は直立性で、樹勢が強く、大きくなりやすい果樹です。甘柿である「富有」は成木になると6~8mほどの広さが必要です。「次郎」「愛宕」「西村早生」などは4m四方ほどのスペースで栽培でき、「前川早生次郎」や「筆柿」は樹勢がおとなしいため、狭いスペースでも栽培できます。庭先果樹栽培では、このような品種がつくりやすいでしょう。
「立木仕立て」と「垣根仕立て」が一般的です。垣根仕立てにすると、奥行きが1mほどしかない狭いスペースでも栽培できます。幼木期の生長が遅いため、幼木期はあまり根切りをしないのがポイントです。
夏の剪定は翌年の結実を考える
7月初旬までに、20~30cmの枝のうち、結実する根を3分の1、実のならない枝が3分の2となるように、剪定を行います。その年になる枝を制限して庭にも映えるシンボルツリー果樹砂カキ葉や枝を多く出せば、翌年、その枝に結実します。また、枝が混み合って日当たりが悪くなった部分や徒長枝を切り去り、株内の日当たりと風通しをよくします。
枝の先端の花芽に注意する
1~2月が冬の剪定期間です。枝が混み合った部分や不要な枝は切り取ります。切り取る枝は、並行して伸びている枝の一方、強すぎる枝、弱った枝、ハサミ状に先で枝分かれした枝の一方、上向きにまっすぐ伸びている枝などです。主枝の先端が枝分かれしている場合は1本を残してほかを切り、残した1本の先端を切りつめます。カキは、枝の先端に花芽をもった混合花芽がつくため、枝の先端を剪定してしまうと果実がならなくなります。しかし、夏の後半になっても生長が止まらず徒長してしまった枝や細く短い枝には花芽がつかないため、冬の剪定の時期に、結果母枝を切り戻して先端の花芽を落としてやると、その年には実はなりませんが、翌年の結果枝が伸びるようになります。
収穫後に乾燥鶏糞、油かす、化成肥料、硫酸カリの複合肥料を、お礼肥として与えます。また、カキはカリを多く必要とするため、8月末~9月に、塩化カリを施すと、肥大した甘味の増した果実が実ります。
雌花だけの品種や雄花が少ない品種では、人工授粉の必要があります。
カキは生理落果の多い果樹で、生理落果を減らすには、摘蕾や摘果が欠かせません。摘蕾は開花の10~15日前に行います。1結果枝あたり、つぼみが2つのときは1つに、3つのときは1~2個に、4個のときは2つを目安に、大きく充実したものを残すように摘蕾します。摘果は、幼栗が肥大し結果枝の伸張が止まるころの7月上旬に行います。15~20葉に1果、1結果枝に1栄を目安に摘果します。このとき、枝のもとに近いものと先端に近いものを落とし、下向きの果実を残すようにします。
ハサミを使って、十分に赤く色づいたものから、1つずつ切り取ります。