病害虫防除
葉が黄色くなったり、元気がないのを見ると、すぐに病害虫を疑ってしまいますが、まずは水やりや施肥の過不足など、栽培方法の見直しも重要です。水切れでも葉が枯れ込んだり実が落ちたりします。よく観察したうえで障害を見つけたときは、食害の跡なのか病気によるものなのかなど、おおまかな原因を探ります。
病気になりにくい品種を選ぶ
トマト、キュウリ、メロンなど、もともと害虫がつきやすい野菜があります。また、野生種より品種改良された野菜のほうが、病気になりやすいという傾向があります。一方、土壌感染する病気に強い接ぎ木苗が出回ったり、病気に強い性質を持たせた耐病性品種、抵抗性品種もつくり出されています。病害虫防除の第一歩として、害が発生しにくい野菜を選ぶことは重要になります。
病害虫に負けない強い野菜づくりを
害虫に食べられた葉が、薬によって元どおりになることはありません。病気によって枯れた茎が、再び立ち上がることもありません。病害虫が発生してからできることは、被害の拡大を防ぐことだけです。つまり、重要なのは、病害虫の発生を抑えることと、病害虫が発生しても大きなダメージを受けずに育つ強いな株をつくることです。強健な株づくりには、栽培条件をととのえ、適切な管理を行う必要があります。病気の発生しやすい高温乾燥、低温過湿状態にならないようにする、不足している肥料をバランスよく施すことなど、日々の適切な管理が、病害虫の発生を抑えることにつながります。また、発生の抑制方法として最近、注目されているのが、「コンパニオンプランツ」です。
コンパニオンプランツについて
コンパニオンプランツの例
トマト | ニンニク、タマネギ、ラッキョウ、ナス(青枯れ病、立ち枯れ病)、ナスタチウム(アブラムシ)、マリーゴールド(ネグサレセンチュウ、コナジラミ)、バジル、アニス、ディル、ミント、ポリジ |
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ナス | ニンニク、タマネギ、ラッキョウ、トマト(青枯れ病、立ち枯れ病)、スイートコーン(アザミウマの天敵ヒメハナカメムシをふやす)、マリーゴールド(ネグサレセンチュウ) |
キュウリ | ニンニク、タマネギ、ラッキョウ(つる割れ病)、バジル、アニス、ディル、ナスタチウム、ポリジ |
カボチャ | ポリジ |
スイートコーン | ナス(アザミウマの天敵ヒメハナカメムシをふやす) |
ピーマン | ナスタチウム |
イチゴ | タマネギ、マリーゴールド、ポリジ、レタス、ホウレンソウ、豆類 |
スイカ | ニンニク、ネギ、ニラ(つる割れ病、立ち枯れ病) |
メロン | ニンニク、ネギ、ニラ(つる割れ病、立ち枯れ病) |
豆類 | ニンニク、チャービル、キャラウェイ、マリーゴールド、ポリジ |
ニンジン | チャイブ(アブラムシ)、ローズマリー(キャロットフライ)、キャラウェイ、コリアンダー、マリーゴールド |
豆類 | ニンニク、チャービル、キャラウェイ、マリーゴールド、ポリジ |
ラディッシュ | ディル、ナスタチウム |
カブ | マリーゴー |
タマネギ | トマト、イチゴ、チャービル、キャラウェイ、ティル、マリーゴールド |
アブラナ科 | ナスタチウム(コナジラミ) |
キャベツ | ミント、タイム、セージ、ヒソツプ、ローズマリー(アオムシ)、フェンネル(カメムシのえさとなる)、シロツメクサ(アブラムシ、ヨトウムシを食べるゴミムシをふやす)、セロリ、アニス、オレガノ、バジル、キャラウェイ、チャービル、ディル、ナスタチウム、ポリジ、ラベンダー |
ハクサイ | セロリ |
レタス | ティル、フェンネル、マリーゴールド、ポリジ |
ネギ類 | ラズベリー |
ニラ | アニス、バジル、テイル、フェンネル |
ブロッコリー | シロツメグサ(アブラムシ、ヨトウムシを食べるゴミムシをふやす) |
ホウレンソウ | コリアンダー、ティル、ポリジトマト、ニンニク、タマネギ、ラッキョウ、ナス(青枯れ病、立ち枯れ病)、ナスタチウム(アブラムシ)、マリーゴールド(ネグサレセンチュウ、コナジラミ)、バジル、アニス、ディル、ミント、ポリジ |
環境をととのえる資材
モザイク病を引き起こすアブラムシの防除には、寒冷紗や不織布でおおうのが効果的です。アブラムシが反射物を嫌うことからシルバーポリマルチや、シルバーテープの入ったマルチング資材も市販されています。キュウリやスイカにつくウリハムシやタネハエは、タネまき後のホットキャップがよい防除策になります。マルチングは土のはね返りを抑えることで、病気の発生を減らします。このように、被覆資材や忌避資材で病害虫を防ぐのも大きな効果があります。
自然素材の薬剤について
農薬は、害虫や病気の原因となる菌類などを化学物質により殺したり、寄せつけないようにするものです。植物に影響がないわけではありません。生食するトマトやレタスに薬剤を散布したり、土壌に散布して薬剤の成分が植物にとり込まれるのは、なるべく避けたいものです。そこで、最近注目されているのが、自然界にある成分を利用した薬剤。コンパニオンプランツの考え方にも通じますが、害虫が嫌う成分や、植物自身が持つ害虫を寄せつけない機能を高める成分を抽出した薬剤です。これを直接散布して殺菌・殺虫効果を上げたり、事前に予防散布することで病害虫防除を図ります。よく知られているは、木炭づくりの際に出る煙を冷却した木酢液です。殺菌、殺虫成分だけでなく、バクテリアの活性を促すため有機質肥料の分解が進み、肥効を高める役割も果たします。竹をいぶした竹酢液もあるほか、各社から市販品が出されており、手作りも可能です。