野菜作りにふさわしい、ふかふかした土作りのためには、堆肥を全面施肥してよく耕しますが、根から効率よく養分を吸収させるための元肥は、根の性質によって施し方を変えます。茎が高く伸びていくトマトやナスなど、根が深く伸びる野菜は、深い溝を掘って元肥を埋める「溝施肥」にします。元肥の上に肥料分のない「間土」を入れてから苗を植えると、根が肥料分を求めてよく伸びていきます。茎がつる状に伸びるカボチャやキュウリなど、根が浅く張る野菜は、肥料も浅く埋めるか全面に浅く施します。早生種など収穫までの期間が短い野菜も、すぐに肥料分が吸収できるよう、広く浅い施肥にします。根菜類では根が伸びる先に元肥がこないようにし、元肥による裂根など板の異形化を防ぎます。なお、化成肥料や抽かすを元肥とする場合は、石灰をまいてから1週間はあけるようにしないと、ガスが発生したり肥料効果が薄れる恐れがあるので注意が必要です。
種のまき方にもよりますが、最終的には株の間をどの程度とるか、つまり、どれくらい根が広がり、茎葉が大きくなるかによって、畝の幅を決めます。大きく植え広がるものは1条植え(一列に植える)でゆったり育てるため、畝幅60cmくらいの「普通畝」を作ります。狭い菜園では効率よくつくりたいので、2条植えにするための 「ベッド畝」をつくり、条間に余裕を持たせた畝幅にします。畝の長さは、株間とつくる分量によって調節します。畝は南北に長辺をつくると、日当たりにあまり差が出ません。冬越しさせるときは北側に風よけを立てて東西に長くします。畝の高さは10cmくらいを標準とし、水はけが悪いときはもっと「高畝」に、乾きやすい土は「平畝」にします。そして最後に、レーキなどで表土を平らにならして畝の完成です。
種まきの際、土が乾かないようにシートやわらなどで土をおおうことを「マルチング」といいます。土の乾燥を抑えるほか、地温を上げる、雑草が生えるのを抑える、雨によって土がかたくなったり酸性に傾くのを防ぐ、雨のはね上がりによる病害虫の発生を抑えるなどの効果があります。黒や透明のポリエチレンフィルムやビニールシートを敷くことは「ポリマルチ」といいます。雨で土中の養分が流れ出すことがないので、施肥量を減らすことができます。地温を上げたいときや虫の発生を抑えたいときは透明マルチを、雑草の繁殖を抑えたいときは黒マルチ、地温の上昇を抑え、防虫効果を上げたいときはシルバーマルチが効果的です。ポリマルチは元肥をしっかり施してから、畝づくりを終えたところで土に密着させるようにかけておき、あらかじめ地温を上げるのに役立てます。タネまき、植えつけの際には、その場所を指で破ったり、カッターなどで穴をあけて作業をします。追肥が必要なときは、小さいうちなら株の周りやポリマルチの上、その後は畝間に施します。敷きわらは稲わらや麦わらを敷くことですが、刈り草や芝などでもかまいません。最近は入手が困難になった事もあり、市販品もあります。種まきのあとでは薄く敷きますが、夏や冬に乾燥防止のために敷くときは、5~10cmと厚くします。