植えつけと水やり
よい根を出させて株を充実させるには植えつけと水やりが重要になります。
根鉢をくずさずに植えつける
移植栽培では、苗をつくった場所から、栄養分を含んだ土へ植えかえることで、新たに根を出させて成長を促します。野菜では、ポリポットやジフィーポットで育てた苗は、根鉢をくずさずに植えつけます。根鉢をくずしたりして根をいじると、その分、生育が鈍るからです。なので、苗床などでつくった苗も、できるだけ根土をつけて植えつけます。野菜は小さな苗を大きな場所に植えつけても、過湿でだめになるということはありません。逆に、タマネギやネギなどは、土をつけなくても大丈夫です。畑の土づくりなどは植えつけ1週間前に終わらせ、おだやかな気候の晴れた日で、風のない午前中に植えつけます。畝の土が乾いているなら、最初にたっぷり水やりをしておきます。畑の作業をする前に、ポットごと苗を水につけて十分に鉢土を湿らせます。
畝間と棟間を計測して植えつける
畝づくりのときに決めた条間、株間に従って苗を植えつけます。計測をして目印をつけておき、根鉢が埋まるくらい土を掘り、ポットをはずしてすぐに苗を植えます。作業中に根を乾かさないよう、手ぎわよく行うことが重要です。ポリマルチをしてある畝では、事前に水やりができないので、植えつけ後になじませる程度に軽く水をかけます。苗は、心持ち畝の表面より高くなるように植えます。浅すぎると(浅植え)、乾きすぎて活着が悪くなり、深すぎると(深植え)、根が冷えて病害虫が出やすくなります。ただし、水はけの悪い土ではもう少し浅植えに、水もちの悪い土はやや深植えにして調整します。作業後はきっちりおさまるように、根元を手で軽く押さえます。
植えつけ後の水やりについて
食べる野菜のみずみずしさを見ると、常に水やりをしなければならないように考えがちですが、植えつけ後の水は、与えるとしても土をなじませる程度、しおれない程度です。根は水を求めて伸びるので、根鉢から新しく植えられた土に、早く根を伸ばさせるためです。ですから、タネまき後はたっぷり水やりしますが、植えつけ時は、事前に畝に水をまき、苗を水につけておいて両方の土をなじませるだけで十分です。
水のやりすぎに注意する
根づいてからも、水のやりすぎは土の中の空気を減らし、根腐れを起こさせる原因となります。また、草丈は高いものは軟弱な株になり、収穫してみると水っぽい野菜になってしまいます。鉢やプランターでは土の水分も限られているので、表土が乾き始めたら水やりをします。土の上に腐葉土などを敷いておくと、乾燥しにくくなります。露地栽培ではほとんど水やりは不要ですが、1週間以上雨が降らないときや梅雨明けの高温乾燥期など、土がからからになっているときは、水やりをします。水やりは夏なら地温を下げるため夕方に、冬は地温が上がる前の午前中に行います。1回の量は土の5~10cm下まで湿るくらい、たっぷりにします。水がしみていかないような土は、軽く耕してから水やりをします。水切れすると根が伸びなくなり、肥料も吸収されなくなって株が弱りますから、乾燥が激しい季節は敷きわらやポリマルチで乾燥を抑えることも必要になります。敷きわらやポリマルチは乾燥だけでなく、雨や水やりによるはね上がりで病害虫が発生するのも抑えられます。なので、梅雨時期や秋の長雨の時期にもしておくとよいでしょう。