果樹栽培・ガーデニングの基本

ウメの育て方・栽培方法

バラ科

花も美しく、寒さに強いです。遣唐使が中国より伝えたとされ、『万葉集』にも多く歌われています。果実は梅干しや果実酒などに利用できます。


ウメ・写真1
ウメの花・写真2
ウメの実・写真3

※画像をクリックすると拡大します

栽培上のポイント

●寒さに強いが、開花が早い品種では凍害に注意。巨木にならないように日当たりをよくする剪定が重要。
栽培上の適地

●北海道~九州。各地の気象条件にあった品種を選択する。
栽培上の難易度

●栽培はそれほどむずかしくないが、開花時の気温条件によって収穫量が変動する。

ウメの果樹としての特徴

寒さに強く、2~3月、アンズやモモなどよりも早い時期に開花します。1~2月に気温が10℃以上の日が続くと開花が促進されますが、その後マイナス3℃になる日があると凍害を受けやすく、括実数が減ります。

ウメの栽培条件と品種選び

湿気が多く日陰になる場所では、立ち技が徒長しやすく、花芽もつきにくくなります。日当たりがよく、通気性と水はけのよい、肥沃な土壌が適しています。同一品種の花粉では受精しにくいものが多いので、家庭栽培では、花粉が多く比較的自家結実しやすい品種を選ぶとよいでしょう。自家受粉しにくいものでは、相性のよい別品種を混植する必要があります。植えつけ場所が狭い場合は、自家結実しやすい小ウメ類を植えか、「南高」に「鶯宿」を高接ぎするなどして、単植するとよいでしょう。

ウメの栽培方法

苗は冬に出回ります。接ぎ木部分がしっかりとした丈夫そうな苗を求めましょう。入手した苗は、12~1月ごろに植えつけます。植えつけが終わったら、たっぷりと水をやりましょう。寒冷地では2~3月に植えつけます。

品種にもよりますが、剪定せずにおくと樹高6~10mほどにもなります。日当たりがよく、水はけのよい場所に植えつけます。庭であれば、敷地の南、あるいは西隅などに植えるとよいでしょう。

開心自然形仕立てが最も一般的な仕立て方です。果樹の周囲にある程度の広さが必要なので、コンパクトに仕立てたいときには適切な剪定が必要です。Y字形仕立ては主枝が2本の開心自然形と思ってよいでしょう。主幹形仕立ては1本の主枝を主幹としてまっすぐに育て、主枝から出る強い側枝を剪定します。主枝の処理が悪いとどんどん上へ伸びていってしまいます。

収穫後には剪定で枝を整える

関東以南では6~7月、関東以北では7月になりますが、収穫が終わったら、夏の整枝が必要になります。翌年の花芽が出るまでには整枝を終えなくてはいけません。内側に伸びている枝や混み合った部分の枝をもとから切ってすくようにし、樹冠内の日当たりと風通しがよくなるようにします。また、その年に伸びた枝で1m以上に育ったものは、翌年結実することが少ないので、そのような枝ももとから剪定します。

長果枝や徒長枝は短く切り戻す

樹形を整え、開花と結実をよくするためには、冬の剪定作業が大切です。ウメは剪定を行わず伸び放題にすると、枝はどんどん伸び、株元の枝が枯れてしまいます。古くなった側枝を切り返して更新し、主枝の先端を剪定し、さらに、同じ方向に伸びる枝や混み合った部分を間引いて、日当たりをよくします。また、小ウメや「南高」以外は、徒長枝には花芽がつきにくく、果実がよく実りません。徒長枝は間引いたり、軽く切り戻して、短い枝をたくさん出すようにします。冬の剪定の時期は、関東以南では12月中、関東以北では遅くとも1月までに行います。

基肥として、植えつけ時に有機質肥料や堆肥などをすき込んでおきます。その後は、花が終わった直後と、果実の収穫後に、遅効性の化成肥料や有機質肥料を木の周囲に浅くすき込み、追肥します。10月ごろ、株から50cmほど離れたところに溝を掘り、堆肥や有機質肥料を、埋め込むように深めにすき込みます。

「白加賀」「豊後」など、ウメには同じ品種の花粉では受粉しにくい品種が多くあります。実を確実にならせるためには、相性のよい他品種を混植したり、花粉が豊富で自家受粉して結実する「鶯宿」「藤五郎」などや小ウメ類などを選んで植えるとよいでしょう。受粉は虫媒にまかせてもよいですが、花粉のない品種や自家受粉しない品種では、他品種の花を、結実させたい品種の花に直接つけるようにして、人工授粉します。

ふつう15葉に1果を目安に摘果する

開花後、結実数が多すぎると、果実が大きくなりません。そこでよい実だけを残して、余分な果実を摘果します。開花後、4月くらいまでの間に生理落花します。摘果はそれを待ってから、地域にもよりますが、4月下旬から5月上旬ごろに行います。ふつう15葉に1果程度に実を残しますが、4月下旬くらいではまだ葉が完全に出揃っていないので、5~10cmの間隔に1果程度残すように摘果します。傷のあるものや病虫害による影響のあるもの、形の悪いものなどを避けて、摘果はできるだけ大きな実を残すように行います。

色で収穫時期を見分ける

地域にもよりますが、6月中旬~下旬が収穫の時期になります。梅酒用の果実は、まだかたく青い段階で収穫し、梅干し用にするものは、黄色く色づきはじめたものを収穫します。とくに完熟した果実を収穫したい場合は、株の下にネットを張って、熟して落下したものを収穫することもあります。

モモやアンズと同じように、前年に伸びた枝の葉腋に、花芽と葉芽がつき、花が咲いて結実します。葉芽は細く、花芽は丸く膨らんでいるので見分けがつきます。とくに20~30cmと短い枝に多く花芽がついて、よく結実します。

前のページへ
次のページへ