果樹栽培・ガーデニングの基本

クリの育て方・栽培方法

ブナ科

縄文時代から栽培されていた、秋を代表する果実のひとつです。


クリ・写真1
クリ・写真2
クリの実・写真3

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栽培上のポイント

●落下を防ぎ結実をよくするためには、ほかの品種 と一緒に栽培。
栽培上の適地

●全国各地。
栽培上の難易度

●授粉樹が必要だが、栽培は容易。

クリの果樹としての特徴

クリの栽培は沖縄を除き日本全土で行われますが、関東、四国、九州地方に比較的多く、なかでも茨城、愛媛、熊本が有名な産地です。クリの根はクリに栄養を与える役目をもつ有用菌(菌根菌)と共生して菌根となります。この菌根が多いほど生育がよくなります。また日当たりのよい枝にはたくさんの雄花穂をつけ、この花穂の基部に雌花がつきます。目陰の枝にはほとんど雄花穂がつかず、そのため雌花もつきません。この結果、クリは日のあたる樹冠の外面だけに結実するという特徴をもちます。

クリの栽培条件と品種選び

全国各地がクリの栽培適地といってもよく、有機質の多い肥沃な酸性土で適当な湿度をもつ土を好み、スギがよく育つような条件を満たしていればクリもよく育ちます。そのような土壌には菌根菌が多く生息している為です。多くの品種があり、ほとんどがニホングリですが、チュウゴクグリと交雑させた品種もあります。イガにとげのないトゲナシクリもあり、実をとりやすいので、家庭果樹向きといえます。9月上旬に熟す早生で大粒の「丹沢」、9月下旬に熟す「筑波」、実つきがよく10月上旬~中旬に熟す「石鎚」などがおすすめの品種です。クリは自家受粉する品種もありますが、一般に結実しにくいため、花の時期が合う他品種を混植・高接ぎしておくと、結実がよくなり、落果も減ります。

クリの栽培方法

植えつけの時期は12~3月上旬です。凍害を予防するために高接ぎされた苗が出回りますので、それを購入して植えつけます。

日陰には弱いので日当たりのよいことが植えつけ場所を選ぶうえで大切なポイントです。土層が深く、排水と保水のよい、有機質が多い肥沃な土壌が適しています。

芯抜きして高木化を防ぐ

5~6年目くらいまで、毎年冬に新梢の3分の1ほどを切りつめて「主幹形」にします。植えつけ後数年すると樹高も4mを超え、樹冠の内部が日陰になって結果枝が衰弱して実がつかなくなります。そのようになったら、主幹下部の主枝2~3本だけを残して主枝の分岐のすぐ上で芯抜きをします。これによって樹高を低く維持できます。

樹木の特性から、自然の状態に近く育てます。混み合った枝や日当たりがよくなるように、枝を間引いたり、枝を短く切る程度でよいでしょう。ただし、主幹の基部は日陰になるよう、枝の配置を考えて剪定します。主幹の基部は昼夜の温度差に弱く、幹元の日当たりがよいと昼夜の温度差が大きくなり、生育不良を起こし、枯死することもあります。切り口が大きな場合には癒合剤や保護用ボンドを塗り、枯れ込みを防ぎます。

庭植えの場合は、土が肥えていて、排水も保湿性もよい場所であれば、とくに施肥の必要はありません。あえて施すのであれば、収穫後、お礼肥として混合肥料を施します。

虫媒や風媒にまかせます。

イガが緑色から褐色に変わってかたくなり、イガの上部が裂けて果実が見えるようになったら収穫時期です。やがて風に揺られるなどして自然落下します。落ちたものを1~2日おきに拾って収穫します。

凍寒害が誘引となって、胴枯れ病が発生することがあります。幼木時期にはわらなどで覆い、被害を回避するとともに、早期に発見し、病斑部を大きめに削り取り、拡大を防ぎます。カミキリムシによる被害も多いため、早い時期に薬剤を使って防除します。

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